保護者地元の国立の工学部か、都会の私立か……。就職のことを考えたら、どっちを選ばせるべきなんだろう。
志望校を決める時期、わが家の食卓でも何度も出た話でした。偏差値表を眺めてもピンとこない。ネットで調べると「地方国立 工学部 後悔」なんて言葉が出てきて、余計に不安になる。この記事を開いたお母さんも、たぶん同じ夜を過ごしているんじゃないかと思います。
先に、わが家の結論を言います。
長男の太郎は地方国立大学の情報系に進み、卒業後は外資系のIT企業に就職しました。後悔はしていません。
ただ、「地方国立でも大丈夫」と言いたいわけでもないんです。振り返ってみると、後悔するかどうかの分かれ目は、大学名とは別のところにありました。



大学名で人生が決まるなら、うちの息子の就職は説明がつかないんですよね。
わが家は後悔した?——答えは「していません」
していません。ただ、ここに来るまでは順風満帆ではありませんでした。
太郎は前期試験で不合格でした。双子の次郎も、同じ日に不合格。わが家の受験は、3月の後期試験でようやく終わりました。進学したのは、自宅から通える地元の国立大学の情報系です。
正直に言うと、「胸を張って選び取った進学先」というより、「たどり着いた進学先」でした。それでも4年後、息子は自分で選んだ会社に就職していきました。だからこの記事は「地方国立バンザイ」の話ではありません。たどり着いた大学でも、後悔しない道はあるという話です。
「地方国立の工学部はやめとけ」と言われる3つの理由——親目線で検証
「やめとけ」で検索すると、理由がずらっと出てきます。読みながら、うんうんと頷いたものもあれば、それは違うけどなあ、と思ったものもありました。うちは太郎が地方国立の理系、次郎が都市部の私立文系。同じ家から両方を同時に見たので、比べられることがあります。
①「知名度がないから就職に不利」→ 少なくとも息子の場合、大学名で門前払いされた形跡はありませんでした。
理系の就活は、研究の中身や面接で判断される場面が多かったようです。エントリーシートで大学名だけを理由に落とされた、という話は本人からも聞いていません。「不利じゃない」と言い切るつもりはありません。あくまで、わが家が見た範囲の話です。
②「都会の大学に比べて情報が少ない」→ これは本当でした。
次郎から大学の話を聞くたび、「環境が違うなあ」と思っていました。企業説明会の数、友達づてに入ってくる就活の話、身近な先輩の数。情報量の差は、正直あります。ただ、致命傷ではありませんでした。少ないなら取りに行く——それができるかどうかは、後半の話につながります。


③「地元企業にしか行けない」→ 半分本当で、半分違いました。
わが家は地方在住です。息子の周りには、地元で就職する子も一定数いました。地元に残る道は、ちゃんとあります。一方で、大手企業を目指した子は県外へ就職していきました。「地元にしか行けない」のではなく、地元に残る道と、県外の大手に挑む道の両方が開いている——それが親として見た実際のところです。
出遅れた息子に内定6社——外資系ITに決まるまで


「3年生の夏までにインターンに行きましょう」。就活の記事には、よくそう書いてあります。
うちは、できませんでした。
- 3年の秋:院に進むか就職するか、まだ迷っていた
- インターン:結局、地元の1社だけ
- 4年のゴールデンウィーク前:ようやく、1社目の内定
正直に書くと、ゴールデンウィークの前に、1社目の内定は出ていました。いい会社でした。実際、夏まで太郎は、その会社に就職するつもりでいました。
それでも、私はまだ心配でした。心配していたのは内定の数ではなく、息子の気持ちです。初めての就活で、この会社に決めていいのか、本人の中でまだ答えが出ていないように見えました。
もう、いちいち親に報告する年齢ではありません。口出しされるのを、何より嫌う年頃です。何か言ってくれれば、相談に乗る。でも、向こうからは言ってきません。だから私は決めていました。何も言わずに悩んでいるように見えたら、ふとした瞬間に、大切なことをひとことだけ伝える。返事は返ってきません。それでも、きっと自分で考えて、進んでいく。そう信じていました。
その「ひとこと」が、これでした。



外資系、受けてみたら?
返事は、なかったと思います。でも、そこから本人が調べ始めました。夏にかけて内々定が積み上がって、最終的に内定は6社。8月に、その中から外資系のIT企業を選びました。離職率や残業や仕事の中身を自分で調べて、比べて、決めたのは本人です。初めての就活を、悩みながら、試行錯誤しながら、最後は自分で突破していきました。親が口を出したのは、あの一言だけでした。
誤解しないでほしいのですが、「出遅れても大丈夫」と言いたいわけではありません。運もあったと思います。ただ、地方国立の理系だから土俵に上がれなかった、という場面は最後までなかった。これが、そばで見ていた私の実感です。


後悔する人・しない人の分かれ目
4年間を見て思うのは、分かれ目は「どこに入るか」より「入ってから」だったということです。
情報系は、授業についていくだけでも自分で手を動かす量が多い分野のようです。テスト前、顔を青くして机に向かう姿を何度も見ました。自宅通学だったから見えた光景です。親の私にプログラミングは教えられません。できたのは、ご飯を作って「今日も遅いね」と声をかけるくらいでした。
それから、私自身の反省もひとつ書いておきます。受験のとき、私はオープンキャンパスで校舎や雰囲気——つまり「入り口」ばかり見ていて、就職状況という「出口」を見ていませんでした。息子の就活を終えた今なら、大学の就職実績のページを最初に開くと思います。志望校を迷っているなら、入り口と出口の両方を見てください。これは、終わった親からの一番実用的な助言かもしれません。
そんな4年間から思う「後悔しやすいパターン」は、この3つです。
- 「国立に入れたから安心」と、入学がゴールになってしまう
- 偏差値と知名度だけで選んで、学ぶ内容を見ていない
- 情報の少なさを「仕方ない」で済ませてしまう
逆に言えば、ここさえ外さなければ、地方国立の工学部は学費の面でも、研究室の先生との距離の面でも、いい環境だったと思います。よかった点は別の記事にまとめています。


地方国立の工学部が向いている家庭・向かない家庭
最後に、どんな子に合うのか。4年間見てきた母の、独断と偏見でまとめます。
向いていると思うのは、こんな家庭・こんな子です。
- 学費を抑えたい(自宅通学ならさらに)
- 落ち着いた環境で、じっくり研究したい
- 情報が少ない分、自分から取りに行ける
逆に、こういうタイプだと入ってから苦しいかもしれません。
- 大学名のブランドで選びたい
- 就活の情報が向こうから来るのを待つタイプ
- 「国立に入れたら安心」だと思っている
どちらが良い悪いではなく、性格との相性の話です。太郎には、合っていました。
まとめ——後悔は「どこに入るか」では決まりませんでした
- わが家の場合:地方国立の情報系→内定6社→外資系IT。大学名を理由にした後悔はなし
- 情報量の差は本当にある。ただし取りに行けば届く範囲
- 分かれ目は、入ってからの4年間の過ごし方
最後に正直なことを。志望校を決めるあの時期、私は「この選択で息子の人生が決まってしまう」ような気がしていました。今は、そうは思いません。大学は入学式がゴールではなくて、そこから1,400日あります。その1,400日が、どの大学を選んでも子どもの味方をしてくれました。
……なんて偉そうに書きましたが、当時の私が同じことを言われても、たぶん信じられなかったと思います。だからせめて、うちの実例をここに置いておきます。夜中に検索してしまうお母さんの、不安がひとつでも軽くなりますように。




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